広島の浄土真宗本願寺派 栢原山龍仙寺/納骨堂(永代に渡ってお守りいたします)

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正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)【9】

正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)【9】

如来所以興出世
唯説弥陀本願海
五濁悪時群生海
応信如来如実言

如来、世に興出(こうしゅつ)したまうゆえんは
ただ弥陀の本願海(ほんがんかい)を説かんとなり
五濁悪時(ごじょくあくじ)の群生海(ぐんじょうかい)
如来(にょらい)如実(にょじつ)の言(みこと)を信ずべし

(意訳)
教主世尊(きょうしゅせそん)は弥陀仏の
誓い説かんと生(あ)れたもう
にごりの世にしまどうもの
おしえのまこと信ずべし

【正信念仏偈9】~願いに遇う~

「如来正意興出世…」からは、弥陀の本願を説かれたお釈迦さまのこころを表す一段に入ります。それでは味わってまいりましょう。
「おとうさん、せっかく生まれてきたのに、なんで死なんといけんのん?死なんといけんのんじゃったら、生れてきたくなかった…」
私の姉がおさないころ、父に聞いたそうです。ほんとうに、その通りですね。生れたものは、かならず、死んでいかねばならない。どんな愛するものとも、別れていかねばならない。
「人間はみな、泣きながら生れてくるのだ…」 シェイクスピアの『リア王』のセリフです。いつの世にも、生きる苦しみは変わりません。生きることの不条理に直面するとき、誰しも、
「私はなんのために生れてきたのだろうか…」と、問わずにおれないのではないでしょうか。親鸞さまはこのいのちの意味を、どのようにお考えになったのでしょうか。
如来、世に興出(こうしゅつ)したまうゆえんは
ただ弥陀の本願海(ほんがんかい)を説かんとなり
五濁悪時(ごじょくあくじ)の群生海(ぐんじょうかい)
如来如実(にょじつ)の言(みこと)を信ずべし  (正信偈)
あらゆる川の水をうけいれる大海のように、いかなるものも漏らさない阿弥陀仏の本願。ただこの大いなる慈悲の願いを説きひらくために、お釈迦さまはこの世にお生れになった。ならば濁り多い世に生れた私たちは、このまことの教えに遇わせていただきましょう…と親鸞さまは仰っています。親鸞さまは、お釈迦さまが生れられた意味を仰ぎ、そこに私たちが生れてきた意味を見出されたのですね。
いつごろであったかわかりませんが、私がおさないころ、母がこう言ってくれました。
「お母さんはね、一真を生むために、この世に生れてきたんよ。」
まごころのこもった言葉は、おぼえなくても、こころの底に残っていくものなのでしょう。四十をこえた今も、折にふれて思い出します。
二十一歳で何もわからないまま、神戸から広島のお寺にとついできた母。いつも笑顔で、とぼけた発言ばかりしていますが、その表情には見えないところで、言葉にできない苦労を忍んできたのだと思います。当時は神戸から広島までは六時間もかかっていたそうで、里帰りもめったにできず、また今のように携帯電話やメールなどない時代です。今ごろになって、時折、そのときのつらさを漏らすようになりました。そんな母を見ていると、おさない頃にかけてもらった、あの言葉を思い出すのです。いったいどんな眼差しで、自分を見ていてくれていたのだろうか‥と。一方の私はというと、そんな親の思いにこたえる言葉を返した記憶は、さらさらありません。
「ぼくは、おかあさんに遇うために、この世に生れてきたんよ。」
と返すべきだったのでしょうが…、お恥ずかしいことに、親の思いに出遇うには、数十年単位のタイムラグが発生しているようです。しかし、たとえタイムラグがあっても、親のこころに遇うところに、はじめて見えるいのちの意味があるでしょう。仏さまと私たちの関係も、同じように味わうことができますね。
曇鸞大師は「函蓋相称(かんがいそうしょう)」と仰っています。お茶の缶が空気の入るすきまもなく閉まるように、ハコとフタがぴったり合っている状態を、仏さまのみこころと衆生のこころが出遇っている状態に喩えられたのです。
大いなる慈悲の願いを説きくために、お釈迦さまは生れられました。ならば私たちは、
「この大悲の願いに遇うために、わたしは、この世に生れさせていただきました。」 と言いきらせていただきましょう。お釈迦さまのみこころに遇うには、まさに二千五百年ものタイムラグが発生している私たちです。しかし、それは問題ではありません。本当に大事なことは、遇うべきものに遇うことです。ともに、お聴聞いたしましょう。阿弥陀さまの大悲の願いが、このいのちの意味を満してくださいます。       南无阿弥陀仏

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