仏事のこころえ『御布施』
布施はダーナと言って、仏道修行の第一番にあげられている大切な行の一つです。本来は、自分のことしか考えない我執の心を離れて、みんなが共に幸せになるよう、おもいやりの実践行として行われたものです。ですから、金銭だけでなく、やさしい言葉をかけたり、笑顔で人と接したり、苦しむ人々に手をさしのべるなど、仏道の根本精神を実践しようとするものです。
現在では、読経や法話の御礼として僧侶に差し上げるものを布施と言うようになりました。これを財施といいます。僧侶はこれに対し法施で返されます。
御布施はいつ差しあげるか
法事の時は、当日の二・三日前に日時の確認をかねて、お寺に持参するものです。もしくは法事の翌日持参してお礼を述べます。
最近では、法事の当日、読経・法話の後、差し出すことが多いようですが、これは本当は横着で失礼なことです。従って一言、「後でお礼に参上しなければならないのですが、ここで失礼します。」等の挨拶を加えたいものです。
金額
あくまで布施であり、お経の料金ではありません。また、仏さまへ供養の心を表すものですから自分の気持ちを包みましょう。地方によって習慣のちがいもありますから、近所の人などに相談するのもよいでしょう。最近は法事が日曜日に集中することなどから、僧侶がお膳の席につかれない場合が増えましたので、お膳料を包むことが多くなりました。
◎葬式の場合、所により申し合せで金額を決めている所がありますが、布施ですから、金額はお寺が決めるものでも、自治会で決めるものでもありません。施主の気持ちを包みましょう。
添え布施
法事を営む家の主人だけでなく、招かれて参拝した人が、それぞれの心持ちを包むのを添え布施といいます。布施が単に読経の料金やお礼という意味でなく、仏縁に遇うた喜びを表わすものであり、我欲を離れて清浄な心になろうとする仏道修行の第一番にあげられている、仏教徒として大切な行であることを物語っています。
◎布施を包む表書きは「御布施」と書きます。「御経料」「御経志」等はまちがいです。